ステークホルダー分析ツール

Ver.1.1

各データの意味・計算式・図の読み方

このツールについて

取引先・規制当局・競合・ユーザーなど、自社を取り巻くステークホルダーの影響が、どのような道筋で売上・利益に伝わるかを「左から右へ流れる水」のように可視化します。線が太いほど金額が大きく、上下の位置で影響の向き(プラス/マイナス)や関わり具合を表します。

表示されている数値はすべて検討用のシミュレーションデータです。実データに置き換える場合は Excel の「ステークホルダーデータ」シートの形式に合わせて準備してください。

サンキー図の構造

サンキー図は左から右へ5つの列で構成されます。

  1. 列 1カテゴリ影響の出どころの大分類(関係機関・買い手・売り手・競合・ユーザー・自社施策など)
  2. 列 2ステークホルダー具体的な相手。固有名詞は匿名化しています(A機構、B委員会、OEM A社 など)
  3. 列 3関係メカニズムその相手がどんな関係で影響を及ぼすか(規制・認可、価格交渉、取引集中 など)
  4. 列 4収益ドライバー影響を受ける収益の要因(市場アクセス、価格・シェア、原材料コスト など)
  5. 列 5財務成果最終的に効いてくる財務成果。4種類あります(次の節を参照)

線の太さ=金額(億円)またはスコア(pt)。ノードにマウスを乗せると、そのノードを通る流れだけが強調されます。

財務成果と計算式

右端の「財務成果」は次の4種類です。色はサンキー図・グラフで共通です。

財務成果意味と計算式
現在売上(Current Revenue)収益を押し上げる要素。計算式:関連金額 × (1 + 需要変化率)
将来売上(Future Revenue)収益を押し上げる要素。計算式:関連金額 × 実現確率
コスト・粗利影響(Margin Impact)収益を押し下げる要素。計算式:関連金額 × 発生確率 × 影響率(施策コストを含む)
リスク売上(Revenue at Risk)収益を押し下げる要素。計算式:関連売上 × 発生確率 × 影響率

KPI(上部の数値)

画面上部の数値は、選択中の年度・地域・製品・シナリオ・施策をすべて反映した合計値です。小さい数字はベースケース(施策なし・前提値どおり)との差です。

指標意味
現在売上今すでに立っている売上。需要・発注の増減シナリオが反映されます。
将来売上(期待値)共同開発・新市場など、これから生まれる可能性のある売上 × 実現確率。
リスク売上(Revenue at Risk)規制・競合・評判などで失われるおそれのある売上の期待値。
コスト・粗利影響原材料・調達・施策コストなど、利益を押し下げる金額の期待値。
リスク調整後見通し現在売上 + 将来売上 − リスク売上 − コスト。全体の「実質的な見通し」です。

ステークホルダーデータの項目

画面下部の明細表と Excel の「ステークホルダーデータ」シートに含まれる項目です。0-100 の項目は、担当者の評価を点数化した定性指標です。

項目単位説明
ID—行を識別する番号。Excel の各シートでも同じ ID で突き合わせできます。
カテゴリ / 種別—ステークホルダーの大分類と、その中での種別。
関係 → 影響因子 → ドライバー—影響が伝わる道筋。サンキー図の中間3列に対応します。
財務成果—現在売上・将来売上・コスト・粗利影響・リスク売上のどれに効くか。
基準金額億円FY2026 時点の関連金額。その関係に紐づく売上やコストの規模です。
年成長率%/年基準金額が毎年どれだけ伸びる(縮む)かの前提値。年度を進めると複利で反映されます。
当期金額億円基準金額に、年度の成長・地域/製品の構成比・施策の効果を反映した金額。
確率%リスク・コストは「発生確率」、将来売上は「実現確率」。シナリオ変数で倍率がかかります。
影響率%リスクが起きたとき、関連金額のうち何割が実際に失われるか。
シナリオ値億円計算式で求めた最終的な影響額。サンキー図の線の太さはこの値です。
依存度0-100自社がその相手にどれだけ頼っているか。高いほど代わりが利きにくい関係です。
影響力0-100相手が自社の収益をどれだけ左右できるか(交渉力・規制権限など)。
代替可能性0-100相手を他に置き換えやすいか。高いほど置き換えやすい(Excel に出力)。
変動性0-100影響の大きさが年によってどれだけぶれやすいか(Excel に出力)。
戦略重要度0-100中長期の戦略上どれだけ重要か(Excel に出力)。
確度0-100データの信頼度。推計が多いほど低くなります。
重要度0-100優先順位付け用の合成指標 = 金額規模 30% + 影響力 25% + 依存度 20% + 戦略重要度 15% + 変動性 10%

表示モードと並び順

サンキー図の上にあるタブで、何を線の太さにするかを切り替えます。

表示モード単位内容
統合ビュー億円上部にプラス(売上創出)、下部にマイナス(リスク・コスト)の流れをまとめて表示
価値フロー億円誰がどのドライバーを通じて現在・将来の売上を生んでいるか
リスク・依存億円Revenue at Risk とコスト影響の発生源。期待損失額 = 関連金額 × 確率 × 影響率
影響度スコアpt金額化しにくい影響力を合成スコア(0-100)で表示。金額とは比較不可

右上の「並び」で、上下の配置ルールを切り替えます。

並び順内容
プラス上/マイナス下売上を生む流れを上部、リスク・コストの流れを下部に配置。中心から離れるほど影響が大きい。
影響の大きさ金額(スコア)が大きい順に上から並べます。
関わり具合(依存度)依存度が高い相手ほど上に並べます。関係の深さを見るときに使います。

年度・地域・製品

画面上部の条件バーで絞り込みます。条件はサンキー図・KPI・施策・Excel出力のすべてに反映されます。

条件内容
年度FY2026・FY2027・FY2028・FY2029・FY2030。年度を進めると、各行の年成長率と施策の立ち上がり(効果が満額になるまでの年数)が反映されます。
地域日本・北米・欧州・アジア。各行に設定した地域別構成比で金額を按分します。
製品製品X・製品Y・製品Z。各行に設定した製品別構成比で金額を按分します。地域と組み合わせた場合は両方の比率を掛け合わせます。

シナリオ変数

右側のパネルで外部環境の変化を設定します。「%」の項目は金額の増減率、「×」の項目は発生確率(実現確率)にかける倍率です(1.0× が前提値どおり)。

変数範囲影響する範囲
B2C需要変化-30〜+30%消費者・インフルエンサー・コミュニティ・広告・商社経由の売上
B2B発注変化-30〜+30%OEM・加工メーカーの発注量(減少時は顧客集中リスクも上昇)
規制リスク0.5〜2.5×A機構・C協会由来の発生確率に乗算
競争激化0.5〜2.5×競合による価格・シェア圧力の発生確率
調達コスト圧力0.5〜2.5×貿易商・原材料サプライヤー起因のコスト発生確率
評判リスク0.5〜3×コミュニティでの評判毀損の発生確率
将来案件の実現度0.5〜2×B委員会・D研究所・共同開発の実現確率に乗算

プリセットを選ぶと、代表的な組み合わせを一度に設定できます。

プリセット想定
ベースケース現状の前提値
規制強化A機構の審査厳格化とC協会の規格改定
需要拡大市場拡大と共同開発の前進
競争激化競合の値下げで需要・発注が減少
サプライ危機為替・原材料高騰と調達難

施策と効果軸

自社施策をオンにすると、関連するステークホルダーの金額や確率が増減し、施策コストが「自社施策」として図に加わります。施策は年度を追って効果が立ち上がります。

施策年間コスト内容
インフルエンサー連携強化1.5 億円推奨投稿で売上増。一方で炎上リスクもやや上昇(効果が満額になるまで 2 年)
顧客分散(新規開拓)2 億円OEM A社依存を下げ、F社など他顧客の発注を拡大(効果が満額になるまで 3 年)
規制対応体制の強化3 億円A機構の審査・C協会の規格改定への先行対応(効果が満額になるまで 2 年)
調達先の多様化1.5 億円複数ソース化で供給・価格変動の影響を抑制(効果が満額になるまで 2 年)
共同開発の加速2.5 億円OEM B社・D研究所との開発投資を前倒し(効果が満額になるまで 3 年)
価格改定(値上げ)0 億円単価上昇で売上増。競合への流出リスクは上昇(効果が満額になるまで 1 年)

施策インパクトのトルネードチャートは、中央の線から右がプラス(改善)、左がマイナス(悪化)です。効果の測り方は次の4つから選べます。

効果軸計算方法
利益ベース(営業利益)売上増減 × 限界利益率35% − コスト増減 − 施策コスト
売上ベース(売上高)現在売上・将来売上の増減 − Revenue at Risk の増減(コストは含まない)
リスク調整後(リスク調整後見通し)現在売上 + 将来売上 − リスク − コスト(施策コスト込み)の差分
リスク低減(リスク・コスト低減額)Revenue at Risk とコスト影響の期待値がどれだけ減るか(売上創出効果は含まない)

利益ベースで使う限界利益率(35%)は、売上 1 億円の増減が利益に何億円効くかを表すシミュレーション上の前提値です。

Excel出力の内容

条件バーの「Excel出力」ボタンで、現在の表示条件のまま .xlsx ファイルをダウンロードします。含まれるシートは次のとおりです。

シート内容
README出力条件(年度・地域・製品・シナリオ・施策・効果軸)と各シートの説明。
Sankey図画面のサンキー図とトルネードチャートを画像として貼り付けたもの。
ステークホルダーデータ全行の属性・計算結果。上記「データ項目」のすべての列を含みます。
年度推移FY2026〜FY2030 の KPI 推移と、施策なしの場合との比較。
地域別 / 製品別地域・製品ごとの KPI 内訳。
施策インパクト施策ごとの増減額を4つの効果軸すべてで一覧化。
Sankeyリンク「元 → 先 → 値」の形式の流れデータ。Excel や他ツールでサンキー図を作り直すときに使えます。
ピボット用データ年度 × 地域 × 製品 × 行の縦持ちデータ。ピボットテーブルで自由に集計できます。
シナリオ比較プリセットのシナリオと現在の設定の KPI を並べて比較。
感応度分析各シナリオ変数を動かしたときにリスク調整後見通しがどれだけ変わるか。

注意事項

  • 金額(億円)と影響度スコア(pt)は単位が違うため、互いに比較できません。
  • B2C 売上は複数の経路(消費者・インフルエンサー・コミュニティ・広告・商社)に按分しているため、各行を合計しても二重計上になりません。
  • リスク・コストは「起きたら失う額」ではなく、確率をかけた期待値です。
  • ステークホルダー名はすべて匿名化した架空の名称です。